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スタッフ日記

2012年 12月 14日
「加藤飼育員とトラの仔奮闘記 ちょっと真面目な話ね編」

先日、日本テレビ系情報番組「スッキリ!」で加藤飼育員とトラの仔にスポットをあてた話が放送されました
結構な時間を使っていてくれてビックリしました!
その中で、たんに「可愛い!(^^)!」だけの話ではなく飼育員と動物、動物園のあり方を私的に感じる所があったので今回のネタにしたいと思います


まずどんな内容だったかと言うと…
トラは絶滅危惧種と言うカテゴリーに分類されて中でもトップレベルに位置するほど絶滅しそうな動物と言われています、野生では400~500頭、日本では60頭弱しか飼育されていません(*浜松でも飼育されているアムールトラの場合)
そんな希少なトラの中にあって今回産まれたトラの仔は国内では稀な血統の持ち主になります
血統は繁殖をする際にとても重要になり、血縁の近いトラ同士では繁殖が制限されてしまいます
スッキリ!の放送ではトラの仔が背負う「宿命」とそれも見越した加藤飼育員の心配を垣間見ることが出来ました


本来動物園の社会的役割は「生体の展示」「繁殖、研究」「教育」であり「繁殖」が安定されればわざわざ野生で暮らしている個体を捕獲することなく次の世代まで命を繋ぐことができます(ここでは動物園の可否は置いといて…)
先に述べたようにトラの仔は稀な血統で「血の更新」の為にはキーアニマル?になります
と言うことは、まだ生まれて3か月弱なのにトラの繁殖において期待された存在なんです。まさに宿命!!
加藤飼育員もそのことはわかっています。どうしても目の前の可愛さに目が行きがちですが、やがてトラの仔は成獣になり生き物の役割である「種の保存」を担うことになり、その時に役に立たない存在になってはならないことも考えています


人工哺育は色んなケースで避けられないものです
今回の加藤飼育員も母親ミーから仔を取り上げた形になりました。もちろん母親が育てた方が100%良いに決まっていますが加藤飼育員は「命」を優先しました
3頭のうち1頭救えたと前向きにとらえるべきだと私は思います
ミーも2回の出産育児で少なからず成長しています。今回はミー自身子育てに対して熱心でしたが不幸にも育てられませんでした。ミーに新しいペアが見つかり更なる繁殖が実現出来ることを願っています

そして加藤飼育員は言います
「母親の代わりにはなれない」
生き物は人間を含め親から生きる術を学びます。トラの仔にしても本来なら母乳を飲み、排泄介助は母親が舐め、遊びの加減、エサの事、コミュニケーションの取り方など母親に教わるところです。人工哺育でうまく教えて立派なトラとして巣立つ事が出来るかどうかは分かりません
トラと人で種類は違います。でも、加藤飼育員を見ていて感じたこと、そしてトラの仔に対して持っているものはまぎれもなく「親心」そのものでした…


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