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スタッフ日記

2022年 9月 15日
「ありがとうハマコ」

本日の朝ハマコが死亡しました。



死は必ず訪れる物で覚悟はしていましたが、実はまだ実感がありません。

私の飼育員歴のほとんどはハマコに関わってきました。
今朝もハマコを見た時寝ているようにしか見えませんでした。
きっと明日もハマコが普通に部屋にいると思って出勤すると思います。
おかしなことに涙も出ません。


しかし、ハマコが市民、来園者、職員に与えてきただろう功績は計り知れないものがあります。
私が飼育員にならずにいたとしても、小学校の遠足で動物園に来てハマコを見ていました。
写真もあり大人になってから驚きました。
きっと皆さんも知らず知らずのうちにハマコに関りがあったはずです。
思い出はなくても、ハマコというゾウが浜松市に50年という長い時間いたんだと知ってもらいたいです。
そして、ここでは私がそんなハマコに想うところを少し書いてみたいです。



私がハマコと仕事をするようになったのは17年前です。
当時のハマコも今と変わらず新人には厳しい性格で、私も散々な目にあいました。
今となってはいい経験ですが、蹴られ、鼻で殴られ、飛ばされたこともありました。
ゾウによる死亡事故が多い中私が死ななかったのも、ハマコが本当は人が好きという性格があったからです。
当時は怖くて怖くて仕方がなかったですが、芯に当てるような攻撃は無かったんです。
ゾウももちろん心のある動物ですので慣れない人が自分の心の距離を犯そうとすれば防衛反応が働くものです。
それがその人を遠ざけるための威嚇になるのは自然なことですが大怪我をしたことのある人はいません。

先輩のアドバイスもありハマコとの距離も縮まってきたと実感するようになってからは、これまでの恐怖のイメージは一切なくただただ甘えてくるゾウでした。
ハマコが浜松に来たのが推定1才の頃の赤ちゃんだったこともあり人に甘えて育ってきたと思います。
そんな昔の写真も見ていたし人が好きということもそんなところからも知っていました。
来園者の方からはかわいいゾウに見えるかもしれませんがハマコにもそんな一面があったんです。
でも職員も誰一人ハマコが嫌いという人はいないと思います。
ハマコが最後まで頑張っている時も助けに来てくれて、今朝も一目見て別れをい言いに来てくれたりと愛されていました。
できることなら60歳までと思っていましたが今年に入ってから少しずつ体調が下向いていました。
ある程度の不調は検査によって分かったので治療もして改善に取り組んでいましたが残念な結果となってしまいました。

私は飼育員になりたくて社会に出て、ゾウの飼育がしたいという希望を持っていました。
実際にやってみてゾウの怖さも素晴らしさも知ることができて、それはハマコを通してだからできたことだと思います。
ハマコに接し始めはいつか殺されるんじゃないかとハマコの前に行くのが嫌な時もありましたが、ハマコだからこそ私が続けられて最期を看取れたんだと感謝しています。
もっと生きていれなくてゴメンとこれまでありがとうの感情がごちゃ混ぜですが、最後はやっぱり感謝で終わりたいと思います。



ハマコ、ありがとう






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